迫りくる7つの潮流とは
イントロダクションも終盤。著者であるティム・オライリーさんのスタンスが次第に明解になります。いわゆる文明の崩壊の例として、エドワード・ギボンによる小説(古典)『 ローマ帝国衰亡史 (ちくま学芸文庫)』を挙げています。
そして、こんなキーワードが…
Wicked Problems
論理矛盾や、技術や環境の整備が整っていないことから棚上げされている問題。それを、Wicked Problemというそうです。辞書通りなら Wicked は “悪い” とか “困難な” などの意味。パラダイムシフトもこのように棚上げされている状態といいますね。
いまは棚上げされている問題と対峙している時期だとオライリーさん。
次なる主役は…アルゴリズム
そして次なる、パラダイムシフトの主役はアルゴリズムではないかと軽く触れているように思います。本や目次をパラパラめくるとアルゴリズムが目につきました。どのような論を展開していくのか楽しみです。
状況を整理しながら…
世界的なコンサルティングファーム、マッキンゼー社によるレポートをひも解きながら状況を俯瞰していきます。人材コストが圧縮され、偏りができた。当然、富に偏りも。そして市場主義で金融が力を持ってきた。一方で、生物学の発展にも目を見張る必要がある。これはデジタル技術の革命が後押ししているだろうと。
オライリーさんのスタンス
あくまで自分の経験、アメリカ側の見方であるし、さらにテクノロジーから見たもののみかたに過ぎないと断りを入れます。(少し!?)意外ですが、依然として迫りくる大きな変革に対し、社会のセーフティネットは十分かとの振り返りも入れています。
※このような側面も、動画(前回の記事)を見て、ご本人の話し方などを観ておくと受け入れられる余地が出てきます。
本書を通して、オライリーさんはこの10数年来、テクノロジー業界を眺めてきた経験から新たな夜明け、未来を考えるためのツールを提供してみたいと力を入れています。
4つの潮流と、3つの問題
前者はマッキンゼー社のレポートから引用をしています。
※翻訳が出ていました。マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている
1.人口動態(長寿化と出生率)
2.グローバリゼーション
3.都心への人口流入
4.テクノロジーの変化
後者はオライリーさんによる追加
5.悲劇的な戦争
6.伝染病
7.環境破壊
流してしまうと、見慣れた問題に見えます。ただ、オライリーさんがセーフティーネットの話に触れていることなどを見ると、それぞれの問題と付き合う必要があるなと感じます。
☆ 次回は、イントロダクションの最後。本書の構成にうつります ☆
WTF?: What’s the Future and Why It’s Up to Us[Kindle版]
- 作者:Tim O’Reilly
- 出版社:Cornerstone Digital
- 発売日: 2017-10-19
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