辞典の編さんにたずさわってこられた増井 元 氏。氏の著書によると「ことばの意味とは何か」について答えるのに、いち個人として応えをもつ必要は必ずしもないのではということ。一方で、たとえば国語辞典の解説に意味として何を書くか。これについては明確な考えが必要とされるとも。
P.214 『辞書の仕事』 著:増井元 岩波新書(岩波書店) 2013/10/18
国語辞典の担当になって間もない頃、日本語学が専門の友人に教えてもらったことがあります。ことばの意味には二通りあって、一つは文脈によって生じる意味、もう一つは文脈に依存しない、場面から自由な意味で、辞典に記述されるべき意味とは後者の自由な意味の方だ、ということです。
言葉は文脈をもって語れるもの。だから愉しいと思っていましたが、文脈と切り離されたところでの意味を求める仕事であるとは驚くばかりです。辞書に対する接し方がかわりますね。
これだけネットが普及すると、専門家のひとも、そうでないひとも、専門的な記事を目にすることができます。この意味においてはネットは文脈を意識しないものであって、辞書的な記述の仕方というものが大切になってくるのかもしれません。
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