人が言葉を覚える仕組みというのは考えれば考えるほど不思議です。というのも、ヒト(ホモ・サピエンス)はだいたい同じ体組織構造をもっているにも関わらず、生まれ育った環境で話す言葉が異なるからです。
これについてノーム・チョムスキーという言語学者が画期的な考えを出しました。ヒトの身体(脳)には言葉の体系がうまれながらに備わっており、そこをベースにして生活をするから話ができるのだと。
井上ひさしさんはこのように述べてらっしゃいました。
『日本語教室』 P.162 井上ひさし 新潮新書 (新潮社2011/3/1)
「変形生成文法」という理論は、普遍的な文法の基礎の基礎は生まれたばかりの赤ん坊の脳にもすでに取り込まれているのではないか、ということ ― こんな簡単にいってしまうとチョムスキー先生に叱られそうですが、要はそういうことだと思います。
実際のところどうなのかは専門家のお考えと研究によると思います。ただ、チョムスキー先生のお考えは、人に対する眼差しが広いな、可能性を信じているのだろうなと勇気をもらえるものだと思います。
すでに備わっている。
コミュニケーションの手法を深めていくためにも押さえておきたい考え方です。
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