予測と経験の相容れぬ関係 Yes…What

ジャズの演奏は即興によるところも多いと聞きます。ひと口に即興といっても、自由に演奏をするフリージャズというジャンルから、ある程度進行するルールに乗ったうえで自由に表現するスタイル(マイルス・デイヴィスの So What 、好きです)まで様々。

ひとは経験を重ねてくると、予測をつけることもできるようになるものです。小さい頃の経験でしたら、補助輪なしで自転車に乗れるようになるまでのトライ&エラーがあるでしょうか。

失敗と安定のせめぎ合い、ですよね。

このせめぎ合いから自由を求める、あらたななにかを生み出すことを期待する手法に「 インプロビゼーション: Improvisation 」というものがあります。たとえば演劇で言うと、相手が作り上げた話の流れを否定せず、ありのまま受け入れ、自分はさらに新たな流れをつくっていくという方法です。

この考え方が、相手とのコミュニケーションで役に立つ時があります。会社経営で多くの場合、ミーティングには経験の密度がそれぞれ異なる人が集まる事でしょう。たとえば、経験値の少ない人材が発言をすると、経験豊かな人材はよかれと思ってアドバイスをする。これはこれで素敵な環境だと思うのですが、アドバイスをした側の内側はどのような気持ちなのでしょうか。

「うんうんわかったわかった。でもな…」「それはな…」という構図であれば、インプロでは『 Yes, But…(わかった。でも…)』という名前が与えられています。残念ながら創造性の芽をつんでしまう考え方です。相手を受け入れる余地がないとも言えます。そして発言した方も、Yesのあとには Butが来ると経験上察知をしてしまいます。

では インプロではどのように新たなものを生み出していくのでしょうか。それは『 Yes, and… 』の方法です。相手がボールを投げてきたときに「うんうんそうだね。…そうですね~」「なら…」という方向性に持っていきます。

Yes and … は最初はとても難しいです。そしていつも出来るものでもありません。ですので、まずは意識をしてみること。すると、いかに私たちの世界が Yes but… で動いているかを感じることができるでしょう。

慣れてきたら、 Yes のあとに、勇気を振り絞って and (それならさぁ~…)とつなげてみることです。 Yes と and の間、そして and のあとに話が続かないときもあるでしょう。しかしそれはあまり重要なことではなく、話のボールを投げてくれた相手を受け入れる余地がこちらにはありますよ、と伝わる(相手だけでなくその場全体に、です)ことが大切なのではないでしょうか。※もちろん and のあとに自分の意見をいうのでもよいのです。

Yes and… 進めてまいりましょう。

マイルス・デイヴィスの「 So What 」。静かなで伸びやかな進行の中で、各々が自由に振る舞います。

・━ おたのしみいただけましたか?「物語」に関する週刊メールマガジンもあわせてどうぞ(無料配信中 // 毎週火曜日) ━・

みなさまと同じく、わたしもスパムメールは好みではありません。お気に召さない場合、メールマガジンの解約もワンクリックでできるようにしてあります。

※ただいま「会議でのコミュニケーションに変化をもたらす5つのコツ」もプレゼント中

メールマガジンに登録する

* indicates required


そして灰色の「Subscribe」ボタンをクリック


 kenya harada
 マーク・ローグ | Marc Logue 代表

◎ミーティングでのコツ
Story Innovation をフォローする
リテンション に 物語 を。 | story innovation

コメント