日本中世の説話集『宇治拾遺物語』(うじしゅういものがたり)が面白いと伝え聞き、町田康さんによる翻訳を読みました。
宇治拾遺物語は宇治大納言源隆国が編纂したとされる説話集(現存しないらしい)にノミネートされなかった話を拾い集めたものを指す。そのため「拾」がつくのですね。
説話集とあるとおり、ホントだかウソだかわからない話を面白おかしくまとめたものがこの本で、懐かしの「コブとり爺さん」の話も載っています。
ただでさえ、冗談交じりの話を、町田康さんがリズミカルに訳されているので、思わず声をあげて笑ってしまうこともしばしば。
翻訳とひと言でいっても、その時代時代の文化を知っていることが求められ、かつ、現代の言葉に対する感度も求められる。非常に創造的な作業だと思います。それを町田節で味付けをされるのですから、中世のひとの語りがすぐそばで聴こえるかのよう。
どんな些細な事でも、文化を蓄えていくこと。そして、自分の言葉を大切にすることは重要ですね。
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