北方謙三氏の南北朝時代小説『道誉なり』。バサラ大名の佐々木道誉の動きがダイナミックであり、小気味よさが堪能できる一冊です。
物語の中で、道誉はバサラらしく嘲るように既存のものをこわしにかかります。
そこで北方氏が使う漢字が壊すではなく「毀す」。
辞書を引かずに物語を味わっていたのですが、文脈上では「毀す」については、対象への敬意があるように感じました。
“名誉を毀損する” で使われますよね。
国語辞典では「毀す」は壊すと同じ扱い。白川静氏の字統で「毀」を呪術的にこわすのような意味合いがありました。
プロフェッショナルだからこそ漢字の使い方も文脈次第でかわるのだなと改めて。基本は漢字の用い方も辞書を引く。その上で冒険してみるとよいですね。
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